英・コービン党首「レバノンのテロは、パリに比べて殆ど報道されていない」:反論するジャーナリストも

昨日から本誌でもお伝えしているパリのテロ事件とメディアに関連するメディアの動き。

「日本のメディアは、フランスのテロを報じない問題」や、その議論そのものへの是非、Facebookのトリコロール問題や安否確認のSafety Check問題、そしてこの一連の流れから、メディアと社会の関係性を改めて考えることの重要さについてなど、様々な観点から議論が行われています。

そんな中、イギリスの最大野党、労働党のジェレミー・コービン党首が、パリのテロ事件に比べて、他国のテロ事件が公平に報道されていないのではないかと疑問を呈し、議論となっています。

コービン党首の発言内容

コービン党首は、イギリス時間の16日、労働党党首に就任以降では初めてとなる、デイタイムのトークショーでのインタビューに応じました。

番組の中で、パリのテロ事件の対応について司会者から聞かれたコービン党首は、今後のISに対する空爆に対する自身の見解を述べる前に、以下のように発言しました。

「まず、パリで起こったことはても恐ろしいことであるということであるという風に思います。パリというのは、活気に満ちた、非常に多文化主義的な雰囲気が存在する街です。若者から乳幼児、お年寄りに至るまで、全ての市民、そして文化が共生している街です。そのような場所で、このような恐ろしいことが起こってしまいました。

そして、残念ながらこれから私が申し上げることは、メディアでは話題になっていませんが、パリと同じように、レバノンの首都ベイルートでも、先週自爆テロが起きていますし。また、トルコでもテロが起きて、同じように犠牲者が出ていますよね?

私は、わが国イギリスのメディアは、ヨーロッパ以外で起こっていることに対しても、ヨーロッパのニュースと同じように報道できるようになるべきだと思っています。どこの国であろうと、命というモノの重みは変わらないのですから」

SNSでも上がった、報道の「差」を疑問視する声

コービン党首が言及したパリ以外のテロ事件とは、先週木曜日にレバノンのベイルートで発生し、40人以上の犠牲者を出した自爆テロ事件。

そしてトルコのテロとは、10月にトルコのアンカラで発生し、100人以上が犠牲になった自爆テロ事件です。

パリとほぼ同時期にベイルートで発生したテロを、メディアでは報じられていないという声はツイッター等でも上がっていました。

「どこのメディアもこのことを報じてないけど、昨日レバノンでISISが起こしたテロによって命を奪われた全ての人よ。安らかに眠れ。」

「世界のニュースといいながら、メディアはシリアやベイルート、アフガニスタンやパレスチナ、ケニアやイラクのことは無視して、パリのことしか報道しないことがよくわかる図を作ってみた。本当にメディアって自分の都合の良いように情報操作してるよね。」

マーティン・ベラム氏の反論

このようなメディアを批判するツイートに対し、真っ向から反論したのが、BBCブログやガーディアンにも寄稿しているジャーナリスト、マーティン・ベラム氏です。

「メディアがちゃんときちんと報道してるニュースを『報道してない!』とか言い張っている人がいるのは、本当にうんざりするよ..」

Mediumに投稿した記事の中で、ベラム氏は「メディアがベイルートのテロを報道してないと思っている人はまずググってみてほしい」としたうえで、Google Newsで“Beirut bomb”(ベイルート、爆発)で検索すると、1,286件の記事がヒットするということを指摘しています。

また、CNNやニューヨーク・タイムズ、BBCにウォール・ストリート・ジャーナルや、ガーディアン、エコノミストなど、英語圏の主要メディアが掲載した、ベイルートのテロ事件を報じている記事を紹介しています。

ベラム氏は「これらの記事の多くは、パリのテロ事件が起きる前に出されているとした上で、「こういったことが報道されないように感じるのは、殆どの読者が欧米以外で起こっていることに興味を持たず読もうとしないからだ。いろいろ意見はあるだろうが、君たちがそのニュースに関する記事を読まなかったからといって、マスコミが報道していないわけじゃない」としています。

そして、ベラム氏は、本記事でもアップしている、ジャック・ジョーンズ氏のツイートで使われている写真が、今回のベイルートのテロの写真ではなく、2006年のイスラエルとヒズボラの戦闘中に使われたクラスター爆弾の写真(BBCが撮影)であることも指摘しています。

このツイートの写真の件は、メディアリテラシーを身につけることの重要性を改めて認識させられますが、今回取り上げた「政治家やネットから寄せられたメディアへの批判」とそれに対する「ジャーナリストの反論」。

この一連のやり取りを、読者のみなさんはどのように感じられましたか?

参考記事

http://www.huffingtonpost.co.uk/2015/11/16/jeremy-corbyn-paris-attacks-beirut-ankara-_n_8573088.html?utm_hp_ref=uk

http://www.itv.com/lorraine/jeremy-corbyn-in-first-live-daytime-studio-interview

http://www.huffingtonpost.co.uk/2015/11/16/paris-attack-media-coverage-beirut_n_8573186.html?utm_hp_ref=uk

http://martinbelam.com/about-martin-belam/

https://medium.com/@martinbelam/you-won-t-read-about-this-in-the-media-but-b275d46fd51f

http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/6167458.stm

AUTHOR

清田健介

THE MEDIA HACK寄稿者。翻訳者。