新たなメディア時代への投資を虎視眈々と進める、英・Daily Mail について

Snapchatとの新会社設立や、EliteDailyの買収、 コンテンツ・レコメンド企業Taboolaへの投資、そしてBrit + Coへの投資など、投資への積極的な動きを見せる Daily Mail について。

彼らが投資領域へ意欲を燃やすのは、1つは財務的なリターンだが、もう1つ重要なのは、広告やコンテンツという隣接領域への戦略的投資という側面。 投資を進めることで、新たな企業を発見し、財務的な関係を作っておくことが、同社の戦略において重要になっているという論です。

個人的には、Daily Mail社の戦略は非常に優れていると思います。彼らは、イギリス国内では最も(ウェブ戦略において)成功している新聞社の1つです。

Gardianが国際的なクオリティ・ペーパー(高級紙)として存在感を放っているのとは対照的に、ゲスい記事もバンバン載せることで、30~40代から支持を得ているのが、Daily Mailが運営する大衆紙Mail Online の特徴だと思います。

その一方で、ミレニアル世代やアメリカ国内の支持は、十分に集めていませんでした。まずこれを補完するウェブ・メディアがElite Dailyです。

一方で、アドテクやコンテンツ・レコメンドという「メディアにとって確実に重要な領域」にも投資をしつつ、Brit + Coを通じて、メディアとECという「まだ十分に離陸していないものの、可能性を秘めている領域」にも張っています。

そしてもちろん本丸は、SnapChatとの提携です。今年のカンヌ・ライオンズで発表されたように、同社は Snapchat と世界最大の広告コングロマリットWPP Agencyと共に、コンテンツマーケの新会社トリュフ・ピッグ(Truffle Pig)を設立しました。

この全方位に張る姿勢は、すでにイギリスでは確固たる地位を築いているDaily Mail社ならではですし、メディア新時代に食い込まなくてはならないという、強い意志を感じます。

では一方で、日本はどうでしょうか? 日経がFTを買収しましたし、朝日新聞はメディア・ラボを設立して、新たな時代のメディアのあり方を模索しているようです。またフジテレビや日本テレビなど大手テレビ局も、ベンチャーへの投資を進めています。

しかし、特に新聞社においては、その取り組みの方向性について、明確に示されているという印象ではありません。(僕が理解していないだけの可能性もありますが)

ぜひ大手新聞社をはじめとして、日本のメディアが、こうした変化をどのように考え、どのような戦略を打とうとしているのか、その取り組みを伺えるチャンスがあれば面白いなと思っています。

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石田健

石田健

1989年生まれ。THE MEDIA HACK 編集長。 大学在学中より、企業ブランディングファームに参画して、バイオ系上場企業の案件などを担当。 2011年の早稲田大学在学中に株式会社アトコレを創業。その後、大学院での研究生活を経て、2015年より株式会社マイナースタジオ代表取締役社長。2015年に株式会社メンバーズへ売却。 早稲田大学文学部卒業、政治学研究科修士課程修了(政治学)。