無料動画が未だに主流のインド;有料のストリーミングが流行る日は来るのか?

今年は、Netflix やAmazon Primeの日本上陸のニュースなどがありました。ここ数年のスパンでみると、Huluの日本進出やdtv、ニコニコ動画のプレミアム会員制度の誕生などもあり、日本でも有料のストリーミング・サイトが一般的になりつつあります

アメリカや日本等でストリーミング・サイトが展開している一方で、有料のストリーミング配信の事業が立ち遅れている国もあります。そのひとつが、人口12億人のインドです。

人口だけで見れば、市場としてのポテンシャルはかなり高そうなインドですが、動画のビジネス市場となるためには、まだ多くの課題があるようです。

コンテンツに課金する文化が無いインド:インフラも不充分

インドは、「コンテンツを消費するために課金をする」という文化がまだ定着しておらず、有料コンテンツのビジネスが発展するための基礎的なインフラも整っていません。

アメリカ等とちがい、無料の地上波のコンテンツに勢いがあり、インドの人たちは多くのテレビ番組や映画をまだ従来のテレビ放送を通じて楽しんでいます。

また、ケーブルテレビの料金は月額米ドルで2~3ドルと大変安く、その基本料金に50セントを課金すれば映画も見放題です。

ケーブルテレビの料金が安い一方、スマートフォンの定額サービスなどがまだ普及していないため、スマートフォンで動画視聴を手軽に行うにはハードルがまだ高いという現状もあります。

更に、殆どのインド人はクレジットカードを持っておらず、ネットを通じて支払いができるようなサービスもインドにはまだないため、コンテンツに課金をすること自体がまだインドでは困難なのです。

YouTubeの無料動画は定着しているインド

テレビが強いとはいえ、インドにもネットで動画を視聴する習慣はあります。動画サイトとして一番の人気を誇っているのはやはり YouTubeです。

インドでは、多くのテレビ局が、過去に放送した番組の配信をYouTubeで行っています。インドのテレビ局では、過去に放送した番組の再放送を行うという慣例がないため、これに目をつけたGoogleが、過去に放送した番組の配信を行うように働きかけたというのがその背景です。

テレビ番組等の無料コンテンツが充実していることもあり、インド人のYouTube視聴時間は毎年80%ほど増加しています。

その一方で、ユーチューバー等のスポンサーになっている企業はまだ少なく、スポンサーから得られる広告収入はアメリカの10分の1程度に留まっています。

課金の取り組みを始めようとする企業も

現状では、無料動画が主流のインドですが、有料のプレミアムサービスをはじめようとする動きもあります。

ボリウッド最王手の映画スタジオ「Eros International」は、昨年から自社の無料ストリーミング・サイトで、配給権を所有するコンテンツの配信を行っています。

これまで無料のコンテンツのみを配信してきましたが、来年の1月にオリジナルドラマが配信されるのを契機に、有料のプレミアム会員の制度の開始を検討しています。

具体的には、「広告なしで動画が視聴できる」「高画質で視聴できる」などといった有料会員向けの優遇策が検討されています。(利用金は米ドルで月額75セント~1ドル50セント程度が検討されています)

また、動画の有料化を徐々に進め、5年後には、Eros Internationalの事業収入の半分程度をストリーミングのサービスを得られるようにしたいとしています。

来年にはNetflixのインド進出も予定されています。来年は、インドでも有料ストリーミングの動画配信が広がる一年になるのでしょうか?

参考記事

http://www.bendbulletin.com/business/3857383-151/free-video-in-india-a-headache-for-media

AUTHOR

清田健介

THE MEDIA HACK寄稿者。翻訳者。